フリーランスの請求書の書き方:源泉徴収あり・なしの違い

📅 2026年5月28日 ✍️ SimpleCalc編集部 お金・税金

フリーランス(個人事業主)が請求書を作成する際、最も迷いやすいのが「源泉徴収税を引いて書くべきか、引かずに書くべきか」という点です。デザインや執筆、撮影などの業務では所得税の源泉徴収が法律で義務づけられていますが、プログラミングやデータ入力など対象外の業務もあります。また、クライアントが「個人」か「企業」かによっても対応が変わります。本記事では、源泉徴収「あり」と「なし」の請求書の違い、具体的な書き方のテンプレート実例、そしてインボイス制度に即した端数計算の正しいルールを3000字以上で分かりやすく解説します。

1. 結論:源泉徴収の「あり」「なし」を決定する判断フロー

請求書に源泉徴収税額を引く(記載する)べきかどうかは、以下の3つのステップで決まります。

  1. STEP 1: 請求先(クライアント)が「源泉徴収義務者」か?
    相手が「企業(法人)」または「従業員を雇っている個人事業主」であれば、原則義務者です。相手が「従業員を雇っていない個人(一般の消費者や完全一人営業の個人事業主)」の場合、源泉徴収義務はありません(=請求書に源泉徴収は「なし」となります)。
  2. STEP 2: あなたの行った仕事が「源泉徴収の対象業務」か?
    原稿執筆、デザイン、写真撮影、翻訳、通訳、講演などは対象(あり)です。一方、ウェブサイト構築(プログラミング)、システム開発、データ入力などは対象外(なし)です。
  3. STEP 3: あなたは「個人事業主」か?
    源泉徴収の対象は個人に対してです。あなたが法人(合同会社や株式会社など)として請求する場合は、業務内容に関わらず源泉徴収は不要(なし)となります。

2. 源泉徴収の対象となる業務範囲のおさらい

国税庁は、源泉徴収をしなければならない「報酬・料金等」の範囲を細かく定めています。フリーランスとして遭遇しやすい代表的な職種と判断の分かれ目は以下の通りです。

職種・業務内容 源泉徴収の有無 判定の理由と注意点
Webデザイナー / イラストレーター あり 「デザイン」は国税庁指定の対象。バナー制作等もデザインに含まれます。
ライター / 翻訳家 / コピーライター あり 「原稿料」「翻訳料」として対象になります。取材費なども含まれます。
エンジニア / プログラマー なし 「システム開発・コーディング」は対象業務に指定されていません。
ディレクター / コンサルタント なし 進行管理やアドバイザリー業務は原則不要(専門資格に基づく指導等を除く)。

3. 実践:請求書の書き方テンプレートと計算実例

ここでは、税抜きの本体料金が「10万円」の仕事を請け負い、消費税10%を上乗せして請求する場合をモデルにして、請求書の計算内訳の書き方を比較します。

① 源泉徴収「なし」の請求書(エンジニア等の場合)

計算は極めて単純です。本体価格に消費税を加算した金額が、そのまま請求金額(振込額)になります。

  • ・業務料金(本体):100,000円
  • ・消費税(10%):10,000円
  • 📊 合計請求金額:110,000円

② 源泉徴収「あり」の請求書(Webデザイナー等の場合)

源泉所得税額をあらかじめマイナスとして差し引いて記載します。税率は100万円以下のため「10.21%」です。原則として**税抜価格の100,000円に対して源泉徴収税を計算**します。

  • ・デザイン業務料金(本体):100,000円
  • ・消費税(10%):10,000円
  • ・源泉徴収所得税(本体10万円 × 10.21%): -10,210円
  • 📊 合計請求金額(差引手取額):99,790円

請求書には、クライアントが経理処理をスムーズに進められるよう、上記のように「小計」「消費税」「源泉所得税(マイナス表記)」「差し引き合計請求額」の4つを明記するのがビジネスマナーです。

4. インボイス制度による「消費税」と「源泉徴収」の重大な記入ルール

2023年10月に開始されたインボイス制度により、請求書のフォーマットが変更されました。特に源泉徴収との関係で以下の2点に注意してください。

① 消費税の「端数処理」は1請求書につき1回のみ

インボイスのルールでは、各項目(品目)ごとに消費税を計算して四捨五入することは禁止されました。すべての項目を合算した「税抜金額の合計」に対して1回だけ消費税(10%または8%)を掛け算し、端数を丸める(四捨五入、切り捨て、切り上げのいずれか)必要があります。

② 税抜金額と税込金額、どちらに源泉徴収をかけるべきか?

国税庁は、「請求書上で報酬額(本体)と消費税額が明確に区分されている場合は、税抜価格を基準に源泉所得税を計算してよい」としています。もし区分されていない(税込11万円とだけ書かれている)場合は、税込の11万円に対して10.21%(11,231円)を源泉徴収しなければならなくなり、手取りが減ってしまいます。そのため、**必ず請求書は「税抜きの報酬本体」と「消費税」を分けて記載し、税抜き価格から源泉徴収を計算**しましょう。

5. クライアントが個人事業主・個人の場合の注意点

源泉徴収のルールで最もミスが起きやすいのは、取引相手が「個人」の場合です。

① 相手が一般消費者の場合

例えば、一般の個人から家族写真の撮影を請け負ったり、個人のウェディング用ウェルカムボードのデザインを請け負ったりした場合。この場合は、業務内容がデザインや撮影であっても、相手は源泉徴収義務者ではないため、源泉徴収は「なし」で請求します。

② 相手が個人事業主の場合

相手がフリーランス(個人事業主)であっても、「従業員を雇って給与を支払っている事業主」であれば、源泉徴収義務者になります。そのため、源泉徴収「あり」で請求します。一方で、「従業員をおいていない一人大工や一人フリーランス」が相手であれば、源泉徴収義務はありません。相手に義務があるかどうか不明な場合は、「請求書は源泉徴収あり・なしのどちらで作成しましょうか?」とあらかじめ確認を取るのが確実です。

6. 源泉徴収ありの請求書に関するよくある質問(FAQ)

Q. クライアントから「源泉徴収は引かないで請求書を出して」と言われました。どうすべきですか?

A. 法律上、源泉徴収義務がある業務(デザイン等)であり、相手が法人であるならば、源泉徴収を行う義務は「支払う側(クライアント)」にあります。仮に請求書で引かずに100%の金額を請求して満額支払われたとしても、のちに税務調査等でペナルティを受けるのはクライアント側です。そのため基本的には「所得税法の規定に則り、源泉徴収を記載させていただきます」と伝えるのが正しい対応です。ただし、システム開発のように対象外の業務であるにも関わらず相手が引くように求めてきた場合は、対象外であることを論理的に説明し、引かずに請求してください。

Q. 源泉徴収税を引いて請求したのに、確定申告をしないとどうなる?

A. クライアントが国に支払った源泉徴収税額は、あなたの「所得税の前払い」として処理されています。確定申告(還付申告)をしない場合、前払いした税金が戻ってこないだけであり、税務署から罰せられることはありません(あなたが損をするだけです)。ただし、1年間の「経費」などを差し引いた正しい税額より前払いした額の方が大抵多いので、還付金を受け取るためにも確定申告は必ず行いましょう。

Q. 請求書の作成を自動化・簡単にする方法はありますか?

A. 毎回「小計 × 10.21%」を手計算して端数を切り捨てる作業はミスのもとになります。特にインボイスの適用区分(課税事業者か免税事業者か)が加わると計算が複雑になります。当サイトの「フリーランス源泉徴収・手取り計算ツール」を使用すれば、請求したい手取り額や本体価格を入力するだけで、必要な源泉徴収税と消費税の各内訳を一瞬で逆算・算出できます。計算結果をそのまま請求書に書き写すだけで済むため非常に便利です。

まとめ:手取り額の計算はツールで完結させよう

源泉徴収の有無やインボイス制度に即した端数計算など、請求書作成における金額の算出は、間違いが許されない一方で非常に手間がかかります。面倒な計算はすべて計算システムに任せるのが一番安全です。当サイトの計算ツールを用いて、正確かつスピーディーに必要数値を算出し、クリエイティブな活動に時間を充ててください。

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